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人間の証明~ジョー山中さん(歌手)~の逝去に思うこと [去りゆく人]

  先週から今週にかけて、サッカー元日本代表の松田直樹選手が34歳の若さで急逝されたことが、TVをはじめとするメディアで大きく取り上げられていました。さらにその前には、元ALBの伊良部秀輝さんの逝去についてもかなり大きく取り上げていたようです。

 

Jyo-Yamanaka.jpg

 

 そんな中で、ロック歌手のジョー山中さんの逝去についても、ひっそりと東京新聞のお悔み欄に報じられていました。果たしてTVでは報じられたのでしょうか?私はジョー山中さんの逝去(享年64歳)の報を読み終えた後で、1977年上映の角川映画「人間の証明」を思い出しました。これは、森村誠一原作の推理小説「人間の証明」を映画化したものです。

 私はこの映画で、二つのことが深く記憶に残っていました。さすがに森村誠一氏の推理小説を映画化しただけあって、ストーリーも素晴らしいものでしたが、特にジョー山中さんが歌っていた主題歌「人間の証明のテーマ」がとても好きでした。すべて英語の歌詞で、最初は海外の歌手が歌っているのかと思ったくらいでした。この歌はカナダのFM放送でも流れていたのを聴いた記憶があります。

 深く記憶に残ったことの二つ目は、映画の中で、事件の推理の鍵ともなった西條八十の詩「帽子」でした。この詩「帽子」を読むと、もうずいぶん昔の映画なのに、「エピソード記憶」の類なのでしょうか、映画のシーンが美しい景色と共にもの悲しく鮮明に思いだされます。

「帽子」詩・西條八十

母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、

谿底へ落としたあの麦稈帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあの時、ずいぶんくやしかった、

だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向から若い薬売りが来ましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした。

そして拾おうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。

けれど、とうとう駄目だった、

なにしろ深い谿で、それに草が

背たけぐらい伸びていたんですもの。

母さん、ほんとにあの帽子、どうなったでしょう?
あのとき傍に咲いていた、車百合の花は

もうとうに、枯れちゃったでしょうね。

そして 秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で、毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谿間に、静かに雪がつもっているでしょう、

昔、つやつやひかった、あの以太利麦の帽子と、

その裏に僕が書いた

Y・S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。

 


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