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醤油(Soy souce)って素晴らしい 洋食を和食風に変える不思議な調味料 [食の愉しみ]

 今から20年以上も前のことですが、出張で初めてカナダに来て、先輩の出張者とレストランに入った時のことです。その先輩は、ウェイトレスに注文を告げた後で、やおら片手を胸のポケットに突っ込んで、何かを取り出してテーブルの上にのせたのです。

たれびん.jpg

テーブルに置かれた物に目をやると、魚の形をしたプラスティック製の醤油が入った“たれびん”だったのです。しばらくして注文の料理が出されると、その先輩は先ほどの“たれびん”を料理にかざして、醤油を2、3滴かけてから食べ始めたのです。その先輩曰く、「洋食は自分の口にあまり合わないので、こうして醤油をたらすと口に何とかなじむので、いつも海外出張する時は肌身離さず持ち歩いている。」ということでした。

ランチャーム.jpg

 その頃の私は、食するもの全てが珍しく、日本にない海外の料理を好奇心を持って味わっていましたので、醤油は必要としませんでした。しかし、いつも海外の料理を食べ続けていると、胃がもたれるようになり、日本料理が恋しくなるようになりました。私はあの時の先輩のように、首尾よく醤油を持ち歩くことをしてなかったので、出された料理を口にするたびに醤油味があればと思うことが多くなりました。

soy-souce.jpg

 或る日、旅行先のレストランに入った時、出された料理を目にして、思い切ってウエイトレスに“ジャパニーズ・ドレッシング”はないかと聞いてみました。ウエイトレスはしばらく考え込んで“Soy Sauce?”と言ったので、うなずくと小さなガラス製の容器に醤油を入れて持ってきてもらました。

 それを少量、料理にかけるとバターやチーズ、ドレッシングなどの臭いが抑えられて、口に入りやすく日本食を食べてるような感覚で、胃がもたれることも少なくなりました。特に朝食のメニューのスクランブル・エッグやソーセージ、ベーコンの類には最適だと思います。もちろん、肉料理や海鮮料理にも少し垂らすだけで日本風の味になるような気がします。

 しかし、注意すべきは誇り高き料理人、レストランのプライドを傷つけることにもなりかねないので、あまりおおぴらにすべきことではないと思っています。やはり、あの時の先輩のように、胸のポケットに“たれびん”をこっそりしのばせて持ち歩くのが一番良いと思いますね。

 醤油は日本では多くの料理に何気なく使っていますが、日本の食文化のシンボルである“寿司”や“刺身”では醤油の役割は大きいように思います。“寿司”や“刺身”が高級で高価、新鮮なものでも、醤油があってこそ、“寿司”であり“刺身”でありうるのではないでしょうか?

 もうずいぶん昔になりますが、ある有名な人がラジオの番組で「ある意味、人は“寿司”を食する時、ネタと同時に醤油の味をあじわっているのではないでしょうか・・・。」と言っていたことが今でも記憶に残っています。

 こちらの食料品店では、日系の食料品店だけでなく、韓国、中国などアジア系の食料品店はもちろんのこと、純粋にカナダのスーパーなどの食料品店でも、「キッコーマン醤油」、「ミツカン」、「角屋」などの調味料が数多く売られています。私は、ごく少量で洋食を和食風に変える不思議な調味料、“醤油”って素晴らしいと思います。


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コメント 4

momiji


この魚の形をした(たれびん)良くみると可愛いし機能的にもうまく出来てますね。うろこの部分は押すときの指先の滑り止めになっており(多分) 
デザインも小さな口先から醤油が適量出せる様なってますし・・・・・
じっくり見たことありませんでしたが、今回この写真でこれを考案されたかたに感心させられました。(私は親戚でも知り合いのものでも無いですよ)

さてそれ以上に、貴方が言われるように、醤油の力は凄いですね。日本ではもちろんこれが無いと大変です。さしみ、寿司などは考えただけでも食べられません。

それに外国で肉料理、魚料理に少し垂らすだけで日本風?になり食べやすくなるというのは、大変解る気持ちがします・・・食べた事ないですが。

カナダに限らず、あちこちの外国でもしかしたらあのプラスチック製の醤油びんは、日本人によりそっと取り出され料理に垂らされているのでは・・・ 
とこれを見て思いました。
by momiji (2010-10-25 09:19) 

aoniyoshi

Momijiさんへ
コメントありがとうございます。Momijiさんのものごとへの関心の広さと深さ、観察眼に敬服いたします。

さて、>うろこの部分は押すときの指先の滑り止めになっており(多分)
>デザインも小さな口先から醤油が適量出せる様なってますし・・・・・
う~ん、そこまでは気が付きませんでしたね。言われてみると、そのとおりかもと納得できますね。

考案された方は、「たれびん」に関心を寄せる、他の人のブログによりますと、昭和30年前後のほぼ同時期、埼玉の中央化学(株)の渡辺浩二氏、大阪の(株)旭産業の渡辺輝夫氏だそうです。
なお、大阪の(株)旭産業では醤油が入った「たれびん」を「ランチャーム」という商品名にしているということです。

>カナダに限らず、あちこちの外国でもしかしたらあのプラスチック製の醤油びんは、日本人によりそっと取り出され料理に垂らされているのでは・・・
う~ん、これについてはどうでしょうかね・・・。僕の世代と違って、最近の日本の若い世代の人たちは、生まれながらにして、マクドナルドのハンバーガーやファミレスなど、西洋式の食生活に慣れてしまっていますからね。

でも日本人の生活は醤油が染み付いてしまっているような気もします。私たち日本人は、全く気が付きませんが、外国人が日本人の家を訪問した際、醤油臭さを感じることがあると聞いたことがあります。
僕の体験として、韓国人の家を訪ねた時は、玄関に入ったとたんに「キムチ」の臭いが、インド人の家を訪問したときは、カレーの香辛料のきつい臭いを感じた記憶があります。

もうずいぶん昔のことですが、アメリカ人が日本に出張で来ていた時、「日本のマクドナルドのハンバーガーは、魚臭いので食べられない。」と悩んでいたことが記憶にあります。



 


by aoniyoshi (2010-10-25 20:20) 

momiji

今回私が大変興味をもった魚の形をした”たれびん”について、色々調べて下さりありがとうございました。                           
そんな昔から、あったとは・・・。
それも同時期に、埼玉の渡辺氏、大阪の渡辺氏が考案されたとか・・・・・
同じ渡辺姓ですが
もしかして、ご兄弟?・・・そんな事はないですよね!

偶然の一致?に、又変な興味を持ってしまいました私です。
 

by momiji (2010-10-27 16:25) 

aoniyoshi

もみじさんへ
再度のコメントありがとうございました。

“たれびん”をほぼ同時期に開発された、埼玉と大阪の渡辺さんは同姓ながら、兄弟でもなく親戚でもないということです。もみじさんが言われるとおり、これは偶然の一致といえるでしょうね。

今回“たれびん”については、僕が知らないことをもみじさんに、いろいろ教えて頂きましたね。

カナダでは、キッコーマンなどの普通の醤油の他に、アジアンフードに使われる“照り焼きソース”も人気があるようです。私は田舎出身なので、“照り焼きソース”の存在はカナダに来て初めて知りました。
by aoniyoshi (2010-10-28 10:03) 

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