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愛犬“ぷりん”との思い出(2/3):母国カナダを離れて、異国の日本へ [愛犬]

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※埼玉県武蔵丘陵森林公園、ドッグランにて
 
 “ぷりん”は1997年9月19日朝、トロント空港第3ターミナルのチェックイン・カウンターで、私たち家族と別れた。ゲージに入れられて貨物扱いの類いだが、ペットは特別扱いとのことであった。飛行中は睡眠剤を注射されて、眠ったまま運ばれたようだ。約15時間の空の旅を終えて、成田空港に着いた。イミグレーションで入国手続きを終えた後、“ぷりん”を引き取り、しばらく空港の外で散歩させた。足は少しふらつき気味だったが、長旅の後にも関わらず、元気に歩いてくれた。短い散歩の後、再び検疫のために2週間の辛い別れが待っていた。
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 その間に私たちも、新しい赴任地で2週間のホテル暮らしの後、社宅に入る予定だったが、日本はカナダと違って、ペットに対しては何処も厳しく、適当なところがなかなか見つからなっかた。その間に“ぷりん”の2週間の検疫期間が過ぎ、まだ川越でホテル暮らしの最中で、不安を抱えたまま成田空港の検疫所まで引き取りに行った。“ぷりん”の元気そうな姿を目にして、私たちの今までの不安はわずかな間だが消え去った。検疫所の周辺をしばらく散歩させた後、再びゲージに入れて京成電鉄のスカイライナーに乗せ、山手線の日暮里駅まで行き、日暮里から山手線で池袋まで、池袋から東武東上線で川越まで行った。約3時間近くに及ぶ電車の移動も、“ぷりん”にとっては過酷な旅であったことは明らかであった。電車の移動中は、ゲージの中だったので、抱いてやることも出来なかった。川越駅で下車して、西武新宿線の本川越駅近くのペットショップまでゆっくり歩いた約20分の散歩も“ぷりん”にとっては恐らく不十分で、今までのストレスを解消するには至らなかったと思う。
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 ペットも一緒に住める社宅を探すのは容易ではなく、自分たち人間の都合だけで、日本へ帰国してから、こんなにも“ぷりん”を苦しめることになるとは、想像もしていなかったことであった。いっそのこと、会社に再転勤願いを出して、亀山市の自宅に戻れたら、どんなにいいだろうかと思った。
“ぷりん”が空港から川越に来てから数日後、幸いにも所沢市北秋津にアパートが見つかった。(※“ぷりん”の思いが通じたのかも知れない。)カナダの自宅に比較すると、ガレージの広さにも満たない狭い3DKのアパートだったが、これから“ぷりん”と過ごせるだけでも幸せだった。アパートに引越し荷物を入れた後、川越のペットショップに“ぷりん”を引き取りに行った。その時ペットショップの主人は、「“ぷりん”君はストレスが最高に溜まっており、今日が本当に限界でした」と言った。本川越から所沢まで西武新宿線に乗り、北秋津のアパートまでゆっくりと歩いた。アパートに着くなり、“ぷりん”は部屋中を不思議そうな顔をして、歩き回っていた。
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 幸いにも北秋津のアパートのすぐ傍が、武蔵野の名残を残す広い雑木林だったので、散歩にはとても最適だった。また会社が休みの時は、航空公園まで車に乗せて連れて行き、他の犬と一緒に芝生の上を走り回らせることができた。
 北秋津のアパートには、約半年住んだ後、川越に自宅を購入した。ここは西武新宿線の南大塚駅から歩いて5分の距離で、所沢以上に環境は良くすぐ裏に広い雑木林があり、小さな川も近くに流れていた。前の道路も車道と歩道がツツジの植え込みで分離され、10m間隔でプラタナスやケヤキ並木が続いていた。休みの日は時々、荒川の支流にあたる入間川の土手を歩きながら、冬の日の晴れた日には、川の上流方向に富士山を眺めることもできた。
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※入間川の土手を散歩、前方は早春の富士山
 
 私たち家族は、埼玉県は初めての場所で、会社以外の知人は全くいなかった。しかし散歩を通じて、“ぷりん”が取り持つ縁で、隣人たちとずいぶん知り合いができた。その恩恵を最も受けたのは、毎朝毎夕散歩をさせていた妻だったかも知れない。私も会社の休日に、“ぷりん”と散歩をしていると、道行く人から「あなたは“ぷりん”ちゃんのお父さんですか?」と声をかけられたことが何度かあった。
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※気がつくと、奈良から遊びに来ていた孫娘“綺星”の横で沿うように寝ていた
 
 “ぷりん”は異国の地、日本の所沢と川越で9年と2ヶ月を過ごしながら、老いを迎え次第に体力の衰えが、見た目で感じられるようになった。そして、2007年7月1日の朝、南台公園を妻と散歩中にバッタリと横に倒れたのであった。それから2週間は病院通いを続けながらも、時には良くなる様な兆しも見せ、私たちに微かな希望を抱かせてくれていた。倒れた後でも、妻が傍にいるとすっかり筋肉が落ちた手足で、ソファやベッドに飛び乗ったりして、元気であることを見せて、安心させようとする健気なしぐさがもの悲しくもあった。

※「愛犬“ぷりん”との思い出③永遠の別れに」続く
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