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アナログ放送終了に思う~読売新聞朝刊 7月26日付 編集手帳より~ [新聞記事から]

 7月24日、当ブログ“アナログのテレビ放送は今日の正午で終了しました”というタイトルで、アナログ放送終了について、多少感傷めいた或いは郷愁めいた記事を書きました。テレビの歴史は私が生きてきた時代と重なり、同世代の人たちの多くは、生まれた場所や学校で学んだ場所は違っても、同じ昭和30年代の貧しかったけれど、煌めくような輝いていた時代を生きた、多感な少年少女時代の共通体験として持っているような気がします。

 昭和30年代以降に生まれた人は、最初からテレビのある生活を記憶されているかも知れませんが、私たちの世代は小学生の時に初めてテレビを見ることができました。テレビ=テレビジョン“Television”は「遠くを見る」という意味ですが、少年の私には衝撃的なことでした。今でも忘れられないのは、アメリカと日本が国際回線で初めて繋がれた時の1963年の最初のニュースは、ケネディー大統領がテキサス州ダラスで、パレード中に暗殺された映像をテレビの画面で見た時の衝撃でした。

 昭和35年の皇太子殿下と美智子妃殿下のご成婚を境に、白黒テレビは緩やかに普及して、さらに昭和39年の東京オリンピックを境にカラーテレビへの緩やかな移り変わりを見てきました。

 テレビの受像機もブラウン管方式が長く続き、プラズマテレビや液晶テレビなどの薄型に、回路も真空管からトランジスタそしてICやLSIなどの集積回路に変わっていく過程を見続けてきました。

 放送局を選択するチャンネルもロータリー式からプッシュ式、リモコンへと変遷を遂げ、特にロータリー式のチャンネルには多くの人が同じようなトラブル体験をしていることと思います。落語家で東京育ちの三遊亭円楽さん(6代目)でさえ、摩耗したチャンネルに紙を挟んだり、ペンチで回したりしたことを話されていました。

 テレビの変遷については、VHF放送とUHF放送、地上波、BSそしてCSなどあげれば、切りがありませんが、最後に7月26日の読売新聞朝刊の“編集手帳”で、アナログ放送終了について書かれており、思わず相槌を打ち頷いてしまった内容だったので、下記に紹介したいと思います。


 〈お隣もわが家もおなじ老夫婦一日おんなじテレビの音量〉。読売歌壇にあった。画面を見ていようがいまいが、テレビはいつもついている。お年寄り2人暮らしの情景だ

◆もの悲しさを詠んだようでもあり、つつがなき暮らしの幸せを詠んだようでもあり、解釈はさまざまあろう。確かな点は、高齢者の日常生活にテレビは欠かせないということだ。それによって隣家同士、とりあえず変わりなし、と確認し合えるのかも知れない

◆大震災の被害が大きかった3県を除き、テレビの地上波がデジタル化された。大多数の家庭は「地デジ化」したようだが、一方で高齢者世帯を中心に10万軒ほどが未対応と推測されている

◆その家では、久しぶりの大相撲千秋楽を見られなかっただろう。いつもの「おんなじテレビの音量」が聞こえず、ご近所は心配しているかも知れない。総務省とテレビ各局は、今後も説明や支援を怠ることなかれ

◆〈磯野家に地デジテレビはいつ届く〉。これは以前、大阪本社版に載ったよみうり時事川柳。速すぎる時代の変化に遅れていくサザエさん一家を案じながら、少しホッとしてもいる。

※読売新聞朝刊 平成23年7月26日 編集手帳より転載させて頂きました。


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コメント 2

momiji

若く,貧しくも煌いていた時代を思い出し、大きく頷きながら拝見いたしました。あの時、テレビが・・・電話が・・・その他いろいろですが・・・この様になるとは~。

サザエさん一家では無いけれど、早すぎる時代の変化についていけない、そんな不安を感じる事もあります。
by momiji (2011-08-03 15:53) 

aoniyoshi

momijiさん、コメントありがとうございました。

 そうですね、テレビは私たちの世代に出現し、社会の動きや時代を浮き彫りにして私たちに見せてくれましたね。また世界の動きは地球の裏側までも即時に映し出し、湾岸戦争や9.11迄もリアルタイムで茶の間に届けられるようになりました。
 
 電話だって、携帯という形で、今のように一人一台を持てるようになるなんて、想像できなかったですよね。
 
 また、テレビについては、持っていることの満足感よりも、持たないことへの満足感を得られる時が来るかも知れませんね。
by aoniyoshi (2011-08-05 21:29) 

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